第二章 高まる熱量〜存在価値の探求とメッセージ開発
「転職は慎重に」というメッセージ戦略を始め、エン・ジャパンの認知度を業界トップに押し上げたプロモーション部。年間予算60億円、会員数204万人もの転職サイトに押し上げたのは、この部門の努力と頭脳の結晶である。そこに、鈴木がいた。
彼の手腕を以前から知っていた深井は、早速、相談を持ちかけることにした。
どうしたら、『エン学』を、もう一段上のレベルに上げることができるのか、と。
鈴木「これまでのメッセージには覚悟が足りないんですよ。もっと引き返せないところまで行かなければならない、という覚悟が必要なんです」
的を射た率直な意見。普段はクールな男で知られる鈴木から、深井は熱い“想い”を感じた。

実は、鈴木が入社した時、エン・ジャパンにも新卒サイトがあった。その運営部門に、入社して間もない鈴木がいた。しかし、『[en]社会人の転職情報』に絞り込みたいという会社の方針により、わずか3年で閉鎖。予算もなかったこともあり、やりたいことができなかった。そのときの悔しさを、今も忘れない。
それが、およそ10年という歳月を経て、新卒サイトを任せてもらえることになった。予算もある。ブランドビルディングやプロモーションの実績では、業界でも有数だという自負もある。『[en]社会人の転職情報』を認知度No.1に押し上げた実績とノウハウ。今こそリベンジを果たせるときかもしれない。
早速、鈴木は現状の『エン学』に欠けているものは何か、徹底的な調査を開始した。リサーチ会社、広告代理店、そして学生へのヒアリング。『エン学』に対する学生のイメージや、大学・企業からの評判…。膨大な資料に目を通し、深井と幾多もの議論を重ねた結果、いくつかの言葉が残った。
「マイナーな感じ。みんなが使うものじゃない」
「地味なサイト。大学が推薦してくれたサイトでもないから使わない」
『エン学』のプレゼンスの低さが、鈴木に重くのしかかる。
