第二章 営業とコピーライターの連携プレー
根津「エンジニアの経験者?しかもプロジェクトマネージャー候補か…。」
これまで800社以上の求人広告を手掛けてきた、ベテランコピーライター根津の眉間に、うっすらと皺が寄る。
鈴木「S社の現状を伝えると、社員はほとんどが未経験入社で、高橋社長自身が直接教育をしているんです。その社長の右腕となる、技術力と育成スキルを兼ねそなえた人財を求めています。」
根津「この手の企業は人手が足りない上、他社との差別化もしにくい職種。しかも、S社は設立して間もないから、実績も少ない。ここは会社の状況を素直に伝えて、未成熟な環境をチャンスと捉えられる実力者に訴求した方がいいと思うぞ。」
なるほど。真正面から正直に伝えることか。いつも自信に溢れている根津のアドバイスに納得した鈴木は、翌日、根津とS社に向かった。エン・ジャパンでは、求職者を惹きつける原稿を作成するために、第三者目線でユーザーに伝える。それが、企業と求職者を結ぶ正攻法なのだ。

取材は滞りなく進んだ。S社のそのままの姿を伝えるべく、求める人物像や会社の夢やビジョン、高橋社長や社員の人柄まで事細かにヒアリングした。さらに、撮影も行う。静止画やムービーも会社の魅力を伝える上で重要なツールである。高橋社長はコワモテだが、ジェントルボイスの持ち主だ。ムービーで語って頂きS社のよい雰囲気が求職者に伝わればと願う。
「技術力より、高橋社長の思いを伝えましょう。」そんな訴求ポイントの提案を前日に行っていた。だが、高橋社長の答えは「原稿を見ないと分からない。」果たして、制作意図は伝わるだろうか?
