第四章 プロジェクトの掟、それは目的を見失わないこと
4週間後。S社の掲載期間が終了した。
ふたを開けてみれば、応募者9人。面接まで進んだのは7人。他媒体での実績に比べると応募数はぐんと減った。しかしどの人財もS社が真に求めていた人物ばかりだった。そして、高橋社長はその中から、もっとも理想に近い2名の採用を決めた。
掲載後も、鈴木は決して気を抜かなかった。応募があることは、決して「成果」ではない。採用できてはじめて、「一つの成果」と言えるのだ。そのため鈴木は、他のクライアントに営業する合間を縫って、S社のアフターフォローに務めた。登録している求職者に向けスカウトメールを書くことをクライアントに勧め、書き方もアドバイスした。せっかく応募した有能な人財が他企業に取られないよう、迅速に内定を出すよう選考プロセスの見直しも提案した。
こうした地道な努力の積み重ねにより、達成できたゴール。「ユーザー視点にこだわる」自分たちのやり方は間違いない、という自信。
鈴木は、心地よい疲労感と共に、悦びが心に満ち満ちてくるのを感じた。それは根津も一緒だ。正直、クライアントの言いなりになるのは楽だ。やり取りにも時間がかからない。しかし、どんなに労力がかかっても、結果を出す。モチベーションを上げるためにも、これが一番なのだろう。
最近S社から受けた報告では、採用できた人財はすでに現場で活躍中。そして高橋社長は、これまでのポジションを離れて、新事業に本腰を入れ始めているということだ。お客様に無駄な採用コストをかけさせないためにも、鈴木と根津はこれからも信念を貫くことを心に決めた。

