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もらったアドバイスは、全部やる! ビリから1位になった先輩に学ぶ、「1年目」の心得

パフォーマンスの最大化

誰もが経験する、新人時代。つらいことや苦しいことが全くなかった…なんて方は、少ないのではないでしょうか。

今活躍している人たちは、どんな新人時代を送ってきたんだろう。1年目から輝かしい功績を残してきた?それとも、壁にぶつかることもあったのでしょうか。

石井三香子さん。現在、『エン転職』を扱う中途求人メディア事業部にて、「事業部初の女性部長」として活躍されている方です。最近では、社長賞(*)を受賞。メンバーからの信頼も厚く、「みかこさんのようになりたい!」という声は少なくありません。

また石井さんをよく知る方にお話を伺うと、「彼女のところには、クライアントからひっきりなしに電話がかかってくるんです(笑)“石井さん、ちょっと採用のことで相談があるんだけど…”って。1日に何件も担当企業の相談に乗っていましたね」とのこと。

社内だけでなく、社外からも頼りにされる石井さん。そんな完璧を絵に描いたような彼女ですが、なんと入社1年目は自他ともに認める「ダメキャラ」だったとか。

「初受注は同期40人の中でビリ…。上司からは、『(言っていることが分からなさすぎて)宇宙人と話しているみたい』といつも言われていました(笑)」。

彼女はどのようにして新人時代を乗り越え、活躍を手にしたのか?そこには、「守破離」の「守」に忠実な仕事スタンスがありました。

(*)社長賞は、四半期に一度、シンボリックな活躍をした社員に贈られる賞。入社1年以内の社員を対象とした「新人賞」、マネージャーを対象とした「ベストマネージャー賞」など、いくつかの種類があります。

<Profile>
2011年、新卒でエン・ジャパンに入社。中途求人メディア事業部の横浜拠点にて、求人広告の営業を2年務める。その後、人材紹介部門に異動して、事業の立ち上げを経験。2015年、求人広告制作の取材を行なうディレクター部門へ異動。さらにその2年後には、代理店専任のディレクター部門へ。現在は代理店部門の部長として活躍する。

震災直後の入社。描いていた理想は、ずっと遠くに見えた

石井さんが同期40名とともにエン・ジャパンに入社したのは、2011年4月。東日本大震災の直後のことです。

「余震でぐらぐらと揺れるオフィスの中で新人研修を受けました」と、石井さんは当時を振り返ります。

「学生時代は、社会人になったらバリバリ働くんだ、という憧れをずっと抱いていたんです。ただ、震災が起こり、状況はがらりと変わりました。大学の卒業式は中止。テレビでは毎日のように、内定取消のニュースが流れていました。そのうち身近な人からも暗い話を聞くように…。はたして自分は無事に入社できるのか、そんなことばかり考えていましたね」

社会や経済が不安定な状況は、コロナ禍にあるいまと、奇しくも少し似ているのかもしれません。

「無事に営業として入社できたものの、企業に電話をかけても『こんな時に採用なんかするわけないでしょう』『震災の直後なのに、不謹慎じゃないですか』とガチャ切りされる毎日…。ほとんどがそんな感じだったので、アポイントはなかなか取れず。“求人広告”と口にしただけで怒られることも多かった。電話でちゃんとお話しできることのほうが珍しかったですね」

「おまけに当時は論理的に物事を話す、ということがかなり苦手で…。結論から話すとか、物事を順序立てて説明するとか。そういうことができなかったんです。ある日、上司に業務の報告をしていたら、近くにいた先輩から『話している内容が分からなさすぎて、宇宙人みたい』と言われたことも…(笑)私がそんなところで躓いている間に、どんどんアポイントを取る同期もいました。状況は同じなのに、なんでだろう…って思っていましたね」

企業の課題を解決する営業になるんだ!と思って入社したものの、毎日毎日思い通りにいかないことだらけ。描いていた理想の姿は、とても遠くに感じた、と石井さんは語ります。

「現実とのギャップに、ショックを受けていたんだと思います。朝起きて最初に出てくるのは『出社したくない』という感情だったし、雨の日はとくに気分が暗くなって、同期と泣きながら帰ったことも。明日も頑張って会社こようね、って約束してバイバイするんです。今振り返ると、何がそこまでつらかったのか覚えてないんですけどね(笑)とにかく、落ち込むことばかりでした」

(※記事内の写真は、オンライン上で撮影したものです※)

アドバイスは即実践。先人の教えを、信じてやり抜く

まわりの同期が徐々に初受注を迎えるようになっても、その気配がなかった石井さん。同じ拠点には、すでに2社目を受注した同期もいたといいます。

少しでも早く同期や先輩に追いつくために、彼女は一つ、自分の中でルールを決めていたそう。それは、「周囲からもらったアドバイスはすべて実践する」こと。

「とにかく、教わったことはすぐにやってみました。たとえば当時って採用がストップしている企業が多かったので、『とにかく何かあったときに思い出してもらえる存在になれ』とよく言われていて。担当企業の近くに行ったら少し顔を出したり、なかなか電話がつながらない企業には手紙を書いてみたり。企業が新聞に載っていたら、その記事を写真に撮って送ったり、記事の感想を自分の言葉で伝えてみたり…。まわりの先輩から『こうしてみるといいよ』『これやってみなよ』とアドバイスされたことは、全部取り入れていましたね」

上司や先輩は私より圧倒的に色々な経験をしているし、ノウハウを持っている。そもそも自分にはまだ“型”もないから、言われたことを素直にやってみるのがいいかなと。もちろん、『電話100件かけて』って言われて、『え~50件で十分なのに…』と思うこともありましたけどね(笑)でも、やる。いきなり自己流を試したり、意見をしたりすることはなかったと思います」

先人の教えを、愚直に実践し続けた石井さん。「自分にできることを、ただただ一生懸命やるしかなかった」と当時を振り返ります。

「震災の影響を受けて業績が厳しい中、先輩たちは自分たち新人の数字まで背負ってくれている。だからこそ、落ち込んだ姿を見せたくありませんでした。まだほとんど業績に貢献できない自分ができるのは、とにかく明るく前向きに、素直な気持ちで仕事に取り組むことだけ。それすらもできなくなってしまったらもうおわりだぞって、常に自分に言い聞かせていたような気がします」

「毎日言われたことがちゃんとできていたら〇。できていなかったら、〇がつくまで帰らない。1年目は、そんなルールをつくって、やるべきことをやるぞ!と同期と励まし合っていました」

大きな一歩を踏み出した8月。ビリから1位へ

入社から5ヶ月目の8月。彼女がコツコツ愚直に続けてきた行動が、ついに実を結びます。

中華街にある肉まんのお店に、初めて求人広告の発注をいただいたのです。

「『石井さんにお願いするよ』と言ってもらえました。営業活動でお店の近くを通ったら肉まんを買ったり、その写真を撮って担当者の方に送ったり。まさに、先輩のアドバイスを忠実にやってきたからこそ得られた結果だったんです

同期の中ではビリ。それでも、この経験は彼女にとって大きな第一歩となりました。

そして、石井さんにさらなる追い風が吹きます。

「初受注からしばらくして、他の企業からも徐々に連絡がくるようになったんです。『採用を再開することになったから、石井さんにお願いしようと思って』『熱心に通ってくれたから一番に思い出したよ』って。うれしかったですね。本当はずっと不安だったんです。どこか、ホッとしている自分がいました」

これまで蒔いてきた種が、次々に花を咲かせはじめた1年目の9月~12月。企業からの問い合わせに追われ、忙しくも嬉しい日々だったといいます。

「自分でもびっくりでしたが、1月には社長賞新人賞を受賞することができました。信じてやり続ければ、ビリでも1位になれるんだって思った瞬間です。自信がついたというよりも、先輩が教えてきてくれたこと、そして信じてきたことは、間違ってなかったなって。ようやく道が拓けたような感覚でしたね」

成果を出したことで、次第に自分の「強み」や「色」が見えてきたという石井さん。熱心な営業スタイルで、企業の伴走者という理想の姿に、少しずつ近づいていきました。

「採用に関係のないことでも、企業から相談をもらうことはありましたね。自分じゃ分からないことは、ネットで調べたり、先輩や他の部署の人に聞きに行ったり…。そうやって企業のお困りごとを解決して、ファンを増やしていく。ようやく、自分なりの戦い方が見つかったんです」

環境やミッションが変わっても、最初は必ず「守」から

「1年目のこの経験って、じつはその後もずっと活きているんです」

取材の途中、明るくそう言った石井さん。

「今年で10年目になりますが、これまでさまざまなミッションや環境を経験させていただきました。求人広告の営業を2年やってからは、人材紹介の部署に異動になって。その後は、求人広告の取材を担当するディレクターになって…。役割や部署が変わっても、最初にやることはいつも同じです。周囲の方のやり方やアドバイスを、まずは実践してみる。社歴が長くなったとはいえ、はじめから自分のやり方で仕事を進めることはないですね」

まずはその部署でのやり方を習い、続けていく。「守破離」の「守」が大事だと、石井さんは言います。

「物事の良し悪しは、まずは先人の教え通りに自分でやってみなければ分からない。やってみることで初めて利点や課題が見えてくる。どうすればもっと良くなるか、自分ならどうするかを考えるのは、そのあとでいいんです」

早く成果を出したい、認められたい。そう思うほど、独自のやり方に走ったり、周りが見えなくなってしまうこともあるはず。でも、「アドバイスを素直に受け入れる」「先輩を真似る」、そういった積み重ねが、じつは成功への近道なのでしょう。

最後に伺えたのは、新人時代の石井さんを突き動かしていた「原動力」について。

「なんだろう、意地ですかね(笑)最初は企業の課題を解決する営業になる!という理想があったからこそ、現実とのギャップに悩まされることもありました。でも、立ち戻る場所があったからこそ、こんなところで終われないって、何度も立ち上がることができたんだと思います」

「あとは、震災直後の不景気の中で採用してくれた会社。そして何もできない自分を、育ててくれた上司や先輩に早く恩返しができるようになりたかった。本当にいろんなものをもらってばかりだったので。まわりへの感謝もまた、私の頑張る理由の一つでしたね」

感謝の気持ちは、「成果」で返す。そこも、石井さんの強さの秘密なのかもしれません。

【編集後記】

人から教わったことを愚直にやり続ける。一見シンプルですが、なかなか難しいことだと思います。コピーライターの新人時代に学んだ教えのひとつである、守破離。独自の表現にこだわりたい!と思っていた時期が私にもあったからこそ、「守」を徹底し続ける大切さを改めて実感しました。

社内外問わず、多くの人から頼りにされている石井さん。いつもテキパキとしていて、かっこいいイメージを抱いていました。なので、理想と現実のギャップに悩んだり、同期と泣いたりしながら働いていた新人時代のお話は意外でした。

そんな日々を乗り越えてきたからこそ、今の石井さんの強さがあるのだと思います。「思い描いていた仕事ができていない」「なかなか成果が出なくて苦しい」そんなことを思っていた1年目の私に、聞かせてあげたいと思ったお話でした。

取材・執筆=池田桃香
撮影・編集=長谷川純菜

池田桃香

2017年入社。コピーライターグループの新人賞、MVPの受賞をはじめ、全社で行なわれるクリエイティブのコンテストでも1位を受賞。趣味は演劇や読書など。

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