民間企業の「ハラスメント対策」実態調査
人事が自社で発生するハラスメントを知るきっかけ
第1位は第三者からの相談。
ー人事担当者向け 中途採用支援サイト『エン 人事のミカタ』アンケートー
人材採用・入社後活躍のエン・ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:鈴木孝二)が運営する人事担当者向け中途採用支援サイト『エン 人事のミカタ』( https://partners.en-japan.com )上でサイト利用者の221名に「ハラスメント」についての調査を行いました。以下、概要をご報告します。
2014年度に各自治体の労働局へ寄せられたハラスメントについての相談は、セクハラ関連が6,183件、マタハラ関連が3,371件と1万件近くまでのぼることが分かりました。表面化しているのはごく一部という声も多く、より強固に労働者を守るため、厚生労働省はマタハラを厳しく取り締まる通知を全国の労働局に出すなど、国を挙げて対策に取り組んでいます。ハラスメントの現場になりやすい企業の実態はどうなっているのか。今回は、企業の人事担当者の方々に自社内の「ハラスメント」対策について、伺いました。
★人事担当の6割が従業員のハラスメントについて把握。把握方法の第1位は、第三者からの相談。
★人事担当が把握しているハラスメント。パワハラが83%、セクハラが51%、マタハラは2%。
★ハラスメントの状況を把握している人事の81%が具体的な対策を実施。
把握していない企業でも34%は対策に取り組んでいることが判明。
「従業員の各種ハラスメントについて、どの程度把握していますか?」と人事担当者の方に伺うと、約6割の企業が「把握している」(4%)「だいたい把握している」(52%)を選択しました。把握方法で一番多かった意見は「本人の周辺(上長・同僚等)からの相談」(71%)、次いで「本人からの相談」(52%)、「社内の噂で聞いた」(42%)でした。厚生労働省が平成24年度に行なった「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」では、4人に1人の労働者がパワハラを経験したものの、社内の相談窓口に相談をした方は、わずか1.8%という結果も。人事が把握していると感じているハラスメントは、氷山の一角に過ぎないと言えそうです。その他『毎年1回個人面接』や『幹部会等で情報収集』などの方法もあるようです。
【図1】従業員の各種ハラスメントについて、どの程度把握していますか?
【図2】図1で、「把握している」「だいたい把握している」と回答された方に伺います。
ハラスメントについて、どのように把握されたのですか?(複数回答可)
「どのようなハラスメントを把握されていますか?」と質問をすると、圧倒的に多かったのは「パワー・ハラスメント」(83%)、次いで「セクシャル・ハラスメント」(51%)でした。近年話題になる「マタニティ・ハラスメント」は2%に留まりました。
【図3】図1で、「把握している」「だいたい把握している」と回答された方に伺います。
ハラスメントについて、どのように把握されたのですか?(複数回答可)
「貴社では、ハラスメント対策を行なっていますか?」という質問に対しては、全体では6割の企業が「行なっている」と回答。ハラスメントの把握有無で分けると、「把握している」企業では81%が、「把握していない」企業では34%とかなり差が見られました。具体的に行なっているハラスメント対策は、全体の第1位は「就業規則に規定を設ける」(74%)、第2位は「社内に相談窓口を設置」(70%)、第3位は「管理職向けの研修・講習会の実施」(43%)となりました。ほとんどの項目で「把握している」企業の取り組みが多かったものの、「社内に相談窓口を設置」(把握している:69%、把握していない:79%)、「社外に相談窓口を設置」(同22%、同36%)などは「把握していない」企業のほうが上回っており、相談機関を設置することで対策が止まっている可能性が想定されます。
実際に有効だと感じた対策の第1位は「社内に相談窓口を設置」(41%)、第2位は「就業規則に規定を設ける」(36%)、第3位は「管理職向けの研修・講習会の実施」(35%)となりました。
【図4】貴社では、ハラスメント対策を行なっていますか?
【図5】ハラスメント対策に取り組んでいる方に質問です。
現在、どのようなハラスメント対策を行なっていますか?(複数回答可)
【図6】ハラスメント対策に取り組んでいる方に質問です。
実施したハラスメント対策の中で有効だと感じたものは何ですか?(複数回答可)
【ハラスメントの「発見・把握」】
◎本人が表立って被害を訴えるケースが少なく、同僚への愚痴や噂程度でしか情報が人事に集まらないこと。(メーカー)
◎本人からの相談はほとんどなく、表面上の問題になって第3者から通報を受ける場合が多い。(メーカー)
◎被害者が周囲に「言わないで」と言って相談してる場合や、愚痴との区別が難しい時など、深刻化してゆく過程が伝わってこない。(不動産・建設関連)
◎実態がすぐに確認できない。相談がくる段階では遅いと感じることがある。(流通・小売関連)
【ハラスメントに対する「個人の意識差」】
◎ハラスメントを受ける側、起こす側で感じるレベルに個人差があること。(不動産・建設関連)
◎ハラスメントを訴える側が過剰に意識している人の場合、賛同できないケースも出てくる。(金融・コンサル関連)
◎基準が曖昧な部分が多く、「何を」言ったかより、「誰が」言ったかが大きいウェイトを占めるため、判断が難しい。(サービス関連)
◎話を聞くと、パワハラまでいかないのではないかという事案が多いが本人がダメージを負っているので対応している。(広告・出版・マスコミ関連)
【上司・管理監督者の対応】
◎マタハラの指摘を恐れ、上司の男性が、妊娠中の部下への業務指導を怖がるようになった。(流通・小売関連)
◎年輩の上司にセクハラという意識がなく、女子社員も容認している節がある。人徳な部分ではあるが、他の社員がそれを見て勘違いしてはマズイ。(不動産・建設関連)
◎一般職から急に管理職になることが多く、部下マネジメントの姿勢が身についていない方が結果的に(パワー)ハラスメントになっているパターンが多いです。(金融・コンサル関連)
◎「自分は平気」と信じている管理者が多い。(メーカー)
◎社会全体が、何でもハラスメントと騒ぎすぎているため、管理職を中心とした全社員がコミュニケーションを取りづらくなっていると思う。(メーカー)
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:『エン 人事のミカタ(https://partners.en-japan.com)』を利用している人事担当者221名
■調査期間: 2014年12月17日 ~ 2015年1月20日
エン・ジャパン株式会社
広報担当:森本、大原
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