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「早期離職」実態調査(2025)
直近3年で「半年以内での早期離職」があった企業は57%。大企業は7割以上が該当。
離職に対する「経営層の意識を変えられない」という悩みの声も。 ー人事・採用担当者向け情報サイト『人事のミカタ』アンケートー

2025/05/09

エン・ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役会長兼社長:越智通勝)が運営する人事・採用担当者向け情報サイト『人事のミカタ』(https://partners.en-japan.com)上で、直近3年間に社員が入社した企業の人事担当者を対象に「早期離職」についてアンケート調査を行ない、291社から回答を得ました。以下、概要をご報告します。

結果 概要

★ 直近3年で「半年以内での早期離職」があった企業は57%。大企業では7割以上が「早期離職があった」と回答。

★ 入社者の定着率向上のために実施していること、最も効果があったこといずれも最多は「上司との定期面談」。

★ 定着率向上に向け、75%の企業が今後の対応を検討。一方で、離職に対する「経営層の意識を変えられない」という悩みの声も。

調査結果 詳細

1:直近3年以内に「半年以内での早期離職」があった企業は57大企業では7割以上が「早期離職があった」と回答。(図13

直近3年以内に入社者がいた企業291社に「半年以内での早期離職はありましたか?」と質問すると、57%と半数以上の企業が「あった」と回答しました。企業規模別では、49名以下の企業のみ46%で半数を切る結果に。一方で、300~999名は80%、1000名以上は73%と7割を超える結果になりました。

業種別では、流通・小売関連とサービス関連がそれぞれ68%で最多になりました。また早期離職の要因は「仕事内容のミスマッチ」が57%で最多でした。退職時の具体的なエピソードも紹介します。

 

1】半年以内での早期離職はありましたか?(企業規模別)

 

2】半年以内での早期離職はありましたか?(業種別)

 

3】早期離職があったと回答した企業に伺います。早期離職の要因は何ですか?(複数選択可)

 

具体的な理由や、早期離職時のエピソードを教えてください。(業種/企業規模)

・若いうちにしかできないことをやりたいと、他業種に転職。(IT・インターネット関連/100~299名)

・倉庫作業で入社した方が、倉庫内が想像以上に暑く耐えられないとの理由で退職。(メーカー/300~999名)

・何度か教えたことを「知らなかった・教えてもらってない」ということが複数回あり、上司がそれについて注意すると、人前で注意されてとても嫌な思いをしたと言って来なくなった。(メーカー/300~999名)

・運送業では、仕事内容について認識違いがあったというケース多い。また体力面で厳しいと感じる方も多く、初日に同乗して帰りの車内で「退職したい」という事もあった。(流通・小売関連/300~999名)

 

2入社者の定着率向上のために実施していること、最も効果があったこといずれも最多は「上司との定期面談」。(図47

現在、定着率に課題を感じている企業は69%でした。続けて、定着率向上のために実施している施策があるかを伺うと、63%が「はい」と回答。施策の詳細を伺うと、「直属の上司との定期面談」が58%で最多に。

最も効果があったと感じる施策を伺うと、同じく「直属の上司との定期面談」が24%で1位でした。一方で「特にない」も23%にのぼり、施策の効果を実感できない企業も一定数あることが分かりました。

 

4】入社者の離職、定着率に課題を感じていますか?

 

5】貴社では、入社者の定着率向上のために実施している施策はありますか?

 

6】定着率向上のために実施していることがあると回答した企業にお伺いします。入社者の定着率向上のために貴社が実施している施策を教えてください。(複数選択可)

 

7】定着率向上のために実施していることがあると回答した企業にお伺いします。入社者の定着率向上のための施策において、最も効果があったと感じる施策は何ですか?(複数回答可)

 

3:定着率向上に向け、75%の企業が今後の対応を検討。一方で、離職に対する「経営層の意識を変えられない」という悩みの声も。(図810

「今後、社員の定着率向上についてどのような対応をお考えですか?」と伺うと、「積極的に取り組む」が30%、「何らかの対応はする」が45%で、計75%の企業が今後の対応を検討していることが分かりました。対応を検討している企業に、今後新たに実施したい、もしくは実施予定の取り組みを伺うと、「上司など受け入れ側への研修」が39%で最多に。効果を実感する企業が多い「直属の上司との定期面談」も30%で第2位となりました。

最後に、社員の定着に関する悩みを伺いました。中には「従業員数200名に対し、1年で60名以上が退職」という状況においても、経営層の意識を変えられないという声も寄せられました。

 

8】今後、社員の定着率向上についてどのような対応をお考えですか?

 

9】今後、定着率向上に「積極的に取り組む」「何らかの対応はする」と回答した企業に伺います。今後新たに実施したい、もしくは実施予定の取り組みを教えてください。(複数回答可)

 

社員の定着に関して、お悩みやご意見をお聞かせください。(業種/企業規模)

・入社後半年以内の離職は無いが、3年以内に離職する社員が増えている。それまでに不満が出るわけでもなく、急に辞めたいと申し出るケースが多く、対策に苦慮している。(IT・インターネット関連/49名以下)

・弊社はパワハラに非常に甘く、とある管理職のパワハラによりこの1年で2人離職しているが、その管理職には何の処分もなく、対策もしていない。どうにもならない。(その他/50~99名)

・弊社(160名)の規模では、手厚い教育はもとより、離職防止策を実行する部門が無い。(サービス関連/100~299名)

・半年や1年での早期離職は無いが、これからという3年目頃に離職するケースが多いことが悩み。(メーカー/100~299名)

・社員数約200名だった弊社の、今期離職者が60人超。中途採用者が35名ほどのため、社員数が減っている状態。経営層は「辞めたら採用すればいい、3年働いてくれればいい」と意見を変えず、採用難もあり2025年度も社員数減・業績減が避けられないと感じている。(IT・インターネット関連/100~299名)

・入社間もなくの退職だと、面接時の説明が悪かったのか、求人票の内容が悪かったのかなど思い当たる事象はあるが、なかなか確認しづらいことが悩み。(流通・小売関連/300~999名)

・早期退職が起こる部署は、責任者のマネジメント能力の低さが日頃の仕事からも垣間見える。そしてそれを分かっているが目を背ける上層部。よって早期退職が起こる部署の改革は絶望的。(その他/300~999名)

・退職の情報入手から退職までの期間が短く、会社としての対応が難しいケースが非常に多い点。(不動産・建設関連/300~999名)

 

早期離職を防ぐポイント 人事のミカタ編集長 手塚 伸弥

入社者が早期離職に陥りやすい要因を分析すると、GRCGap, Relation, Capacity)」の3つのポイントが挙げられます。それぞれのポイントに対する具体的な対策をご紹介します。

1.ギャップ(Gap)期待と現実の乖離を防ぐ

入社前の情報提供が不十分な場合、入社後の「こんなはずではなかった」というギャップを生み、離職の大きな原因となります。これを防ぐには、以下のような取り組みが効果的です。

・入社前の正直な情報提供
求人情報や面接にて、職場の良い面だけでなくマイナス面も正直に伝え、求職者に企業の「現実」を正しく認識してもらう。

・入社後の目標設定
目標設定の面談を入社初日の研修プログラムに設定し、期待される役割を明確に伝える。(入社者が不安になるのは、自分に何が期待されているのかがわからないこと。面談でそこを明確できれば、最初に簡単な作業的仕事を任されたとしても、ステップの一つだと理解することができる。)

2.リレーション(Relation)上司との関係構築

中途入社者にとって最も重要な人間関係は直属の上司との関係です。以下の工夫で信頼関係を築きやすくなります。

相談の機会を定期的に設ける
毎日短時間の「質問タイム」や定期的なフォローアップ面談を実施し、中途入社者が気軽に悩みや疑問を相談できる場を提供する。入社数ヵ月は「深い信頼関係を結ぶ」ことよりも、単純に「相談しやすいか、話しかけやすいか」を意識したコミュニケーションが重要。

・採用時に得た情報の共有
人事から直属の上司に対し、入社の背景や持っているスキルを細かに共有することで、上司側の理解を深めることができる。(上司側も「なぜこの人を採用したのか分からない」「何ができるかが分からない」という状態だと、どのように育成していいのか分からず、適切なサポートが実施できない。)

3. キャパシティ(Capacity)業務量の適切な配分

業務量が適切でない場合、ストレスや不安が離職に繋がる可能性があります。意外にも、少なすぎても「単純な作業しか任されないので、期待されていない」「周りが忙しそうにしているのに、自分だけ手が空いていて気まずい」といった心理に陥ってしまうのです。これらを防ぐためには、以下の対策が効果的です。

・業務量の調整
入社初期は、業務量を段階的に調整し、無理のない範囲でのスキル習得をサポートする。

個別フォローの強化
定期的な対話を通じて、「業務量が多すぎないか」「業務に物足りなさを感じていないか」を確認し、適切に調整する。

本件の背景や詳細については、さらにご説明可能です。ご関心ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
<エン・ジャパン株式会社 広報担当>
TEL:03-3342-6590  MAIL:en-press@en-japan.com

 

調査概要
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査期間:2025年3月11日~4月7日
■調査対象:『人事のミカタ』(https://partners.en-japan.com/)を利用する企業
■有効回答数:291社

困ったらまずココで検索。人事・採用担当者向け情報サイト 人事のミカタhttps://partners.en-japan.com/

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▼プレスリリース ダウンロード 20250509_人事のミカタ(早期離職)

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