『人的資本経営』入門。
人事・経営者が押さえておくべき、エッセンスとは?

2022/10/31 UPDATE
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    ≪『DiscoverHR:企業価値を創造する人的資本経営(2022.7.21)』開催レポート≫

 「人的資本経営」とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方(経産省2022)です。新聞などのメディアで目にしない日はないほど、昨今の日本で注目が集まっています。

 しかし、「そのポイントとは何か」を問われた時に、まだ返答に窮する方も多いのではないでしょうか。また、大切だと認識をしていても、実践にまで繋げられていない企業も多いのではないかと思います。

 実際に、当社の人材活躍支援事業部が実施した「人的資本経営」についてのアンケート調査からは、「人的資本は重要」だと認識していても、具体的な取り組みには落とし込めていない企業が多いことが示唆されています。



 「人的資本経営」を実践に繋げていくにはどうすればいいのでしょうか。また、そもそも、「人的資本経営」とはどういったもので、なぜ今、注目されているのでしょうか。これまで日本企業が行なってきた人材マネジメントとは何が違うのでしょうか。

 人材版伊藤レポートの生みの親である伊藤邦雄氏に、当社イベント「Discover HR」にて講演をいただきました。今回はそのサマリレポートをお届けします。


 

目次

『DiscoverHR:企業価値を創造する人的資本経営(2022.7.21)』開催レポート

◆「人的資本経営」を提唱。その背景とは?


・日本の不都合な真実を直視せよ
・メンバーシップ型雇用の限界。日本企業は本当に人に優しかったのか?
・パンドラの箱を開ける。日本企業を救うには「人的資本経営」しかない。

◆人的資本経営とは何か?


・変革の方向性
・人材戦略に求められる3つの視点、5つの共通要素(3P・5Fモデル)

◆「人的資本経営」の実践におけるポイント


・最も重要なことは「経営戦略と人材戦略」の連動
・選び・選ばれる関係へ
・測定・見える化のポイント

「人的資本経営」を提唱。その背景とは?

 一橋大学名誉教授 伊藤邦雄氏は「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の座長を務め、その報告書である「人材版伊藤レポート、人材版伊藤レポート2.0」は大きな反響を呼んでいます。同レポートでは「人的資本経営」を行なう上での、重要な観点や実践例がまとめられており、自社の取り組みを考えるヒントが豊富に掲載されています。

 今回の講演では、同レポートの内容をベースに「企業価値を創造する人的資本経営」について語っていただきました。

■日本の不都合な真実を直視せよ



 講演の冒頭、伊藤氏から「人的資本経営の上位概念は企業価値の向上である」と指摘がありました。何のために「人的資本経営」を行なうのか。企業は取り巻く経営環境に適応し、持続的に企業価値を創造できなければ、市場からの退出を余儀なくされます。「人的資本経営」は企業価値創造に繋がることが示されました。

 その上で、伊藤氏は最初に日本企業に対する問題意識についてエビデンスを交え語りました。

 伊藤氏『まず、少し厳しい話から始めたいと思います。現在、日本企業はどの程度価値創造をしているのでしょうか。定性でも主観でもなくて定量的指標で見る必要があります。』



 示されたデータは、日本企業のPBR(※)とその世界比較。PBRは1倍を超えていると企業価値を創造しており、1倍を下回っていると、企業価値を棄損していることになります。

 伊藤氏『なんと、日本企業の4割~5割が1倍を割れています(左上図)。世界と比較するとどうでしょうか。米国では1倍割れは3%、ヨーロッパでも20%です(右上図)。まさに 日本にとって「不都合な真実」です。しかし、そこを直視してPBRが1倍を超える企業をもっと増やしていきたい。これが私の問題意識のひとつです。』

※PBR…Price Book-value Ratioの略。株価が割安か割高かを判断するための指標。純資産から見た「株価の割安性」。株価が直前の本決算期末の「1株当たり純資産」の何倍になっているかを示す指標。

■メンバーシップ型雇用の限界。日本企業は本当に人に優しかったのか?

 次に伊藤氏はもう一つの問題意識について語りました。それは「メンバーシップ型雇用の限界」についてです。そのポイントは以下、4点です。



■「慣性に基づく楽観主義」の温床に
 メンバーシップ型雇用は、長期安定的に雇用を保証する一方、人事異動については会社の命令に従ってもらうことがペアになっています。一度メンバーになるとなかなか退職しないことが特徴です。これが経営側に「慣性に基づく楽観主義」をもたらしたと伊藤氏は指摘しています。欧米では、社内のキーパーソンが明日にでも辞められてしまうのではないか、という恐怖感があり、常日頃から社員のケアをしている*日本企業ではそのケアがやはり薄かったのではないか。つまり、人材にあまり投資をしてこなかったのではないか、という見解を示しています。

■成り行きに任せる「手なり文化」で人材が育たない
 外部環境は急速に変化し、不安定、不確実な時代になっています。これまで通りに仕事を与えれば人が育つという発想はもう限界を迎えています。意図的にチャレンジングな環境を与える「タフアサインメント」のような発想が欠如していると指摘しています。

■人材の個別性・専門性に注目していない
 これまで、多くの企業で 人材を塊で見てきたのではないか。経営の一体感ためには均一的な人材の方が適している。社員一人ひとりの個性やスキル、専門性には注目をあまりしてこなったのではないかと述べています。

■人に対する本当の優しさを発揮できていない
 日本企業は明日急に辞めさせないという限りでは確かに優しいが、それは本当にやさしさなのか。社員一人一人のやりがいに寄り添う。ウェルビーイングを高めることに丁寧に向き合う。このようなことが本当のやさしさではないのか。日本企業は社員のことを本気で考えて、真正面から向き合ってこなかったのではないかとの見解を示しています。

■パンドラの箱を開ける。日本企業を救うには「人的資本経営」しかない。

 以上のようなことから、日本の伝統的な人事管理制度は社員一人一人の自律性・自立性を削いできたのではないかと伊藤氏は指摘しました。

 伊藤氏『世界の従業員エンゲージメント調査で、日本はどうしても最低に近いところに位置付けられてしまう。自己肯定感が日本人は低いと言われるので、そこは割り引いてみる必要あると思います。けれども、人に優しいと言われてきた日本企業のエンゲージメントが、世界の中で低いという事実はどう解釈すればいいのでしょうか?

 日本企業はこのテーマをパンドラの箱の中に押し込めて真正面から向き合ってこなかったのではないでしょうか。今回、経済産業省にて「人的資本経営」についての検討会が組成され、私が座長を任されたものですから、勇気を出してこの箱を開けました。それが人材版伊藤レポート及び、人材版伊藤レポート2.0につながっていったわけです。』

 では、日本企業は人材についてどう考え、どう行動していくべきでしょうか。伊藤氏は、人材は「管理」の対象という暗黙知的発想の転換の必要性を説きます。「efficient(効率)発想」から「effective(効果)発想」に変えるということです。



 これまでの「efficient(効率)発想」は「削る発想」。一定の成果(売上高・利益)をあげるために投入する資源は最小限にするべきであるという考え方でした。  「effective(効果)発想」とは「増やす発想」。一定のインプットを最大限に活用して、最大のアウトカムを得る考え方。人材は「管理」するのではなく、「価値を最大化」するものであるという発想の転換が必要です。

 伊藤氏だから私は「人的資源」ではなく、「人的資本」という言葉を使いました。消費する資源ではなく、投資する資本であるということです。人材は価値が伸び縮みするんだと。素晴らしい環境に置けば、勉強すれば、人材の価値は伸びますし、放置したりすれば、やっぱり価値は縮んじゃうんですね。』

 また、伊藤氏はこれまでの「efficient(効率)発想」は「一律一斉思考」を誘発してきたと指摘します。



 伊藤氏『一律一斉思考は人材の潜在力やイノベーション思考を削ぎますし、「維持」または小刻みな改善を良しとする風土を醸成します。もうここから決別し、社員一人一人の個性や潜在力、専門性に焦点を当てた「人的資本経営」を行なうべきだと思います。

 管理の対象としての人的資源ではなくて、まさに価値創造の主体である人的資本に焦点を当てる。これは決して極端に申し上げているのではありません。よく日本は資源がない国なんだと言われるわけですが、もう日本を救う道は、人的資本の潜在価値を最大化させることしかないと思っています。』

人的資本経営とは何か?



 「人的資本経営」とはどのような経営なのでしょうか。詳細は「人材版伊藤レポート及び人材版伊藤レポート2.0」に譲るとしながら、伊藤氏はそのポイントについて語りました。

■変革の方向性

 まず、変革の全体像についてです。日本の伝統的な人事の在り方をどう変えていけばいいのか。その方向性が示された図が以下です。



 左側がこれまでの姿、右側がこれから目指すべき姿です。これまでの成功体験に囚われることなく、企業の人的資本マネジメントの在り方、企業と個人の関係性について、社会の変化に応じてモデルチェンジを行ない、価値創造を目的としたオープンで対等な関係へと変革する必要があることが示されました。

 伊藤氏『私がお伝えしたいことは、ある意味ではこれに尽きています。このパラダイムを皆さんが咀嚼していただいて、それを自社なりに読み替えていただいて、実践していただくということが大事だと思います。』

■人材戦略に求められる3つの視点、5つの共通要素(3P・5Fモデル)

 では、具体的にどう人材戦略を考えていけばいいのでしょうか。伊藤氏は、人材戦略は経営戦略やビジネスモデルに応じて個社性がある一方で、①経営戦略と人材戦略の連動②As is-To beギャップの定量把握、③人材戦略の実行プロセスを通じた企業文化への定着といった3つの視点(Perspective)から俯瞰することができると示しました。



 また、Ⅰ:動的な人材ポートフォリオ、Ⅱ:知・経験のダイバーシティ&インクルージョン、Ⅲ:リスキリング・学び直し(デジタル・創造性等)、Ⅳ:従業員エンゲージメント、Ⅴ:時間や場所にとらわれない働き方という5つの共通要素(Common Factor)も人材戦略には存在するとしています。



 伊藤氏『こうした3つの観点(Perspective)、5つの共通要素(Common Factor)を「3P・5Fモデル」として整理しています。企業においては、こうした視点、共通要素に加え、自社の経営戦略上、重要な人材の課題について経営戦略とのつながりを意識しながら、具体の戦略・アクション・KPIを考えることが有効だと思います。』

「人的資本経営」の実践におけるポイント

■最も重要なことは「経営戦略と人材戦略」の連動



 講演の後半は、伊藤氏から「人的資本経営の実践におけるポイント」が示されました。伊藤氏によると、3つの視点(Perspective)の中で一番強調したいことは、「視点① 経営戦略と人材戦略の連動」である、とのことでした。

 経営戦略の実現には、必要な人材の質と量を充足させ、中長期的に維持することが必要です。 そのためには、現時点の人材やスキルを前提とするのではなく、経営戦略の実現という将来的な目標からバックキャストする形で、必要となる人材の要件を定義し、その要件を充たす人材の採用・配置・育成をすることが求められます。

 伊藤氏『日本企業はこの部分がなかなか出来ていないのではないかと思います。つまり、人事が経営戦略を深く理解して人材戦略を考えてこなかったのではないかと。これが日本企業の競争力をだんだんと弱くしていった要因の一つかなと思っております。』



 では、なぜ「経営戦略と人材戦略の連動」ができていないのでしょうか。伊藤氏からは大きく3点が示されました。

 第一に、メンバーシップ型雇用のもとで、「人材」を働き手の塊として見てしまっていたことが挙げられました。これは、各人材をきめ細かく見て、個性と能力と専門性として定義をしてこなかったということです。それゆえ、「経営戦略・ビジネスモデル」と「それを遂行する人材」のギャップの可視化ができていないことが指摘されました。

 第二に、人材の個性や能力が可視化されていないがゆえに「人的資本の価値」と「現在または将来の経営戦略の遂行力」を関連させて捉えることができない、という点が挙げられました。経営戦略を実現するためにはどんな人材が必要なのか。今どんな人材が自社にいるのか。このような点が曖昧では経営戦略と人材戦略を結びつけることは難しくなります。現状と将来のギャップが分からなければ、人材育成・トレーニングを経営戦略と関連させて行なうこともできない、ということが示されました。

 第三は、組織の縦割りです。具体的には経営企画部と人事部とのコミュニケーションの欠如が指摘されました。経営企画部門など、経営戦略や中期経営計画作りを担う部署と、人事がコミュニケーションをとり、新中計を作る最初から入り込んでいく。このことの重要性が述べられました。さらに、CFOという財務部門のトップとCHROという人事部門のトップの密なコミュニケーションを社長が促していくことの重要性も語られました。

 伊藤氏はこのような課題を示したうえで、「経営戦略と人材戦略の連動」のポイントを述べました。

 伊藤氏将来的な目標(To be)と現状(As is)とのギャップを主観的ではなくて客観的に見える化することが大事です。自社の経営戦略上重要となる人材アジェンダを特定し、アジェンダごとにKPIを用いて目指すべき姿(To be)の設定と現在の姿(As is)の把握を行ない、そのギャップを定量的に把握することが求められます。

 ギャップがあるのであれば、そのギャップを埋めなければなりません。例えばある新規事業をやりたい。しかし、そのスキルを持った人材少ない。そうなれば、もちろん外部から採用もするのですが、全部外からとはいきませんよね。今おられる皆さんのスキルを組み替えていただいて、新しい事業新しいビジネスモデルにふさわしいような、スキルを獲得してもらう。 そのために、リスキリング。新しいスキルを獲得する機会を会社として提供して欲しいと思います。もちろん皆さんが主体的に自発的にリスキリングすればいいのです。でも、会社としても、社員の皆さんのリスキリングを支援してほしいと思います。 』

■選び・選ばれる関係へ

 会社と社員の関係が「選び・選ばれる関係」になる。このことの重要性も「人的資本経営」実践のポイントとして示されました。

 伊藤氏は、これまでのメンバーシップ型雇用では、「雇用し続けてくれる」という意識が社員の「悪性安心感」を醸成してしまったと述べ、「選び・選ばれる関係」の重要性を語りました。



 伊藤氏『悪性安心感が充満すると社員は自己投資をしなくなり、それが結果として企業価値の低落につながります。やはり適度な緊張感が大事です。会社から選び続けてもらいたいと思えば、自己を向上させようと思いますし、切磋琢磨しますよね。会社側も社員から選ばれたいと思ったら、社員一人一人に丁寧に寄り添うようになると思います。そういう関係がすごく大事です。』

 「選び・選ばれる関係」を作るためには、どうすればいいでしょうか。伊藤氏からは、パーパスを中心に置きながら、社員と会社がお互いをよく理解しようとする対話が大切であることが示されました。

 伊藤氏『対話とは、まさにコラボレーションですね。お互いに協力して一定のアウトカムを実現しようよ、というような雰囲気、あるいはそういう行動を誘発するということです。それが社員と会社との自立性の構築につながり、企業価値を創造していくのです。』

■測定・見える化のポイント

 講演の最後には、人的資本の測定・見える化のポイントが示されました。現在、人的資本に関わる情報開示が世界の潮流となってきています。日本においても2022年8月30日に「人的資本可視化指針」が発表されました。人的資本情報の開示は重要性を増しています。このような流れの中、企業は人的資本情報の開示をどのように進めていったらいいでしょうか。

伊藤氏によると、開示する人的資本情報は、大きくは2種類とのこと。一つは、他社と比較可能な情報。例えば女性管理職比率や男性社員の育休育休取得率などの定量的な情報です。

 二つ目は、自社の独自の取り組みについての情報。自社の人的資本をどのようなストーリーで最大化させようとしているか。自社の創意工夫についての情報です。



 情報を開示するためには人的資本の見える化が不可欠です。この点についても伊藤氏からポイントが語られました。

 伊藤氏『この見える化・定量化にあたっては、どうぞ、完璧を最初から求めないでください。定性情報のように見えるものも、場合によっては定量化することも可能ですので、そういうぜひ視点を持って工夫をしていただきたいと思います。

 それからいろんなKPIがあるわけですけども、それ全部開示するわけじゃないですよね。皆さんの会社は選択するわけです。大事なことは、なぜこのKPIにしたのかということです。そしてそのKPIに照らして目標を設定して、その目標を追う。ただ、同様に経年変化を示すことも大事です。例えばエンゲージメント。最初は水準が低かったとしても2年後、3年後、5年後にはどういうふうにしたいのか。そういう経年変化をストーリーとして語っていただくということがすごく大事になってくると思います。

 人的資本情報の開示は、まさにストーリーテリングです。完璧にサイエンスではありませんので、まさに説得的なストーリーをどう作って、どう語っていくかということがすごく大事になってくるだろうと思います。ぜひ自社の独自性のある創意工夫を凝らした情報を提供していただきたいなと思います。本日はありがとうございました。」

編集後期:「3P・5Fモデル」を用いて、自社ならではの「人的資本経営」を考える



 ヒトの持つ価値を最大限に引き出す「人的資本経営」がもたらすもの。それは、少なくとも以下の三つの観点から述べられます。

 第一は働く従業員の観点。「リスキルの機会提供」、「意図的なタフアサインメント」、「多様なキャリアパス」、「柔軟な就業環境の整備」、「企業理念やパーパスについて従業員に積極的に発信・対話し、共感や納得感を高める」、そして「選び・選ばれる関係」へとシフトする。このような、多様な一人ひとりに向き合う人材への積極的な投資「従業員のエンゲージメント」を高めます。

 第二は企業業績の観点。非連続で予測が困難な現在、企業価値の決定因子は有形資産(モノ・カネなど)から無形資産(ヒト・情報・知識など)にシフトしています。その無形資産の中でも中核に位置付けられるのがヒトです。なぜなら、無形資産を生み出すのは人材・組織に他ならないからです。経営戦略に人材戦略を適合させ、また、人材の可能性を広げることで企業業績、そして中長期的な企業価値が高まっていきます。

 第三は採用の観点。非財務資本の開示が一般的になっていく中、労働市場においても人的資本の情報が重要になってきます。「その企業がヒトに対してどのように考え、何を大切にし、どのような投資をしているのか」。これからの求職者は企業を選ぶ際にこのような点を重視するようになっていくと考えられます。人的資本を重視した経営に、スピード感をもって対応していく企業と、変化に踏み出せない企業とは、労働市場において、差別化されていく可能性が高いと言えるでしょう。

 このような効果をもたらす「人的資本経営」の実践には、人的資本を高める自社ならではのストーリーを考えることが不可欠です。その時にヒントとなるフレームが「3P・5Fモデル」です。なかでも一丁目一番地となるのが、一つ目の視点である「経営戦略と人材戦略の同期」です。自社が描く戦略を実現するには、どんなマインド・スキルを備えた人材が必要なのだろうか。そういった人材は今、充分にいるのか。いないのであれば、いつまでにどれくらい育てなければならないのか。あるいは採用をしなければならないのか。このような問いかけからストーリーは生まれていくのではないでしょうか。

今回のサマリレポートが自社ならではの「人的資本経営」を考える一助となれば幸いです。

 


参考文献
経済産業省(2021)人材版伊藤レポート
経済産業省(2022)人材版伊藤レポート2.0
経済産業省(2022)経済産業政策新機軸部会 中間整理
エン・ジャパン(2022) 人事活動・施策実態アンケートREPORT 人的資本編

執筆・編集:入社後活躍研究所 研究員 千葉純平

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